2016年、世界と勝負する
日本テニス界の若手女子選手たち
2015年、錦織圭はATPツアーで3勝を挙げ、一時は世界ランキング4位まで躍進した。しかし、テニス界で話題をさらったのは、彼だけではない。WTAツアーにおいて、ふたりの若き日本女子選手が初優勝を成し遂げた。1990年代、伊達公子を筆頭に盛り上がった女子テニスの黄金期が再び訪れるのか。当時、伊達らとともに活躍した元プロテニスプレーヤーの神尾米氏に話を聞いた。
日本女子10人目のWTAツアー優勝を遂げた土居美咲 昨年、10月に日比野菜緒選手(21歳/世界ランキング66位)がタシケントオープンでWTAツアー初優勝を果たしたことは、嬉しい驚きでした。日本女子テニス界はこの数年間、現役復帰したクルム伊達公子選手(45歳/182位)に若い奈良くるみ選手(24歳/81位)と土居美咲選手(24歳/54位)が追いつけるか、そしてふたりが追い抜いた後は再び伊達さんが追い上げてくるのか――、その点に集中し過ぎていて、そこより下の動きにはあまりフォーカスしていなかったように思います。
もちろん、日比野さんがITFトーナメントの2万5千ドルや5万ドル(※)あたりで勝っていたことは知っていましたが、どちらかというと尾崎里紗選手(21歳/160位)、江口実沙選手(23歳/152位)、穂積絵莉選手(21歳/187位)の3選手のほうに期待が集まっていました。そのなかで日比野さんがいきなりツアー優勝したので、正直、驚きましたね。
※ITFトーナメントは、WTAツアーよりも下部の大会群。2万5千や5万などは賞金総額で、数字が大きいほどグレードが高い。
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