全仏オープン新時代へ。絶対王者ナダルが錦織圭に屈する! (5ページ目)
昨年のマドリード大会決勝で、錦織がナダルを剣が峰まで追い詰めた試合で見せたように、今やジョコビッチやマリーもベースラインから下がらず、跳ねた直後のボールを叩いて畳み掛けてくる速い展開で、クレーコートでも勝利を重ねている。過去10年間、ローラン・ギャロスを支配してきたナダルと、それを追撃するジョコビッチやマリー、錦織らとの対立構図は、クレーでの戦法を巡る「伝統と革新の対立」と見ることができるかもしれない。
そんな革新テニスの旗手たる錦織は、グランドスラム優勝の可能性を問われると、常に、「あと数年のうちに優勝したい」と繰り返してきた。だが、性急なメディア(それは日本に限ったことではない)の間からは、今年の全仏での優勝を期待する声も多く上がっている。
果たしてその、「数年のうち」がいつになるのか、今年の全仏オープンで頂点に肉薄できるのか――それは、誰にも分からない。
だが、十数年前に、センターコートにこっそり忍び込んだ少年が見た夢のその続きを、自分たちの夢や希望に重ねながらグランドスラムを迎えられることは、とてつもない幸福だ。
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