今季、棄権ゼロ。錦織圭が語る「ケガに強くなった要因」 (2ページ目)
その理由は、明快だ。マドリードとローマのマスターズが2週連続で行なわれる5月上旬は、ただでさえ超過密を叫ばれるテニスツアーにおいて、最もタフで残酷な季節である。マドリードとローマの両大会は、どちらも56ドロー(トーナメントの出場者人数)。トップシード8選手は初戦を免除されるが、それでも優勝するには5試合を勝ち抜かなければいけない。それも1週間で行なわれるのだから、終盤は4~5連戦となる。最大3セットマッチとはいえ、連戦続きという意味ではグランドスラムよりも過酷だ。
錦織のトレーナーとしてツアーに帯同する中尾公一氏は、「ケガは基本的に、食べて寝なくては回復しない」と言う。だからこそ、たとえ1日といえども試合間に休養日があることは、周囲が思う以上に大きな意味を持つようだ。昨年の錦織は、3月に痛めた股関節のケガが完全に癒えないままに、マドリード大会を戦っていた。テニスそのものは絶好調で決勝まで勝ち進むが、激しい連戦の中で股関節をかばって動いたため、ふくらはぎに大きな負荷を掛けてしまう。結果、大会中にふくらはぎを負傷し、ローマ大会の欠場を余儀なくされた。
この5月の過酷なスケジュールに悩まされているのは、何も錦織だけではない。現に今回のローマでも、世界ランキング4位に上り詰めたばかりのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は足の負傷のため欠場。マドリードで3回戦進出のフェルナンド・ベルダスコ(スペイン/世界ランキング35位)は、フルセットの熱戦3試合の代償として身体を痛め、やはりローマを見送っている。また、ガエル・モンフィス(フランス/世界ランキング15位)も、マドリード2回戦で戦った3時間20分の激闘の最中にひざを負傷したため、ローマは見送った。
※ランキングは5月14日現在。
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