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神尾米が語る錦織圭「彼のフットワークは天性のモノ」 (4ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 このような速い攻撃パターンは、きっとこれまでにもコーチから言われてきたでしょうし、練習でやってきたと思います。ただ今は、それを試合でできるようになった。それが、すごく大きい。錦織選手自身も、「トップに勝つにはこの攻め方なんだ」と感じ、コーチから言われたことと、自分が必要だと思っていることがガッチリと合っているのだと思います。

 そのコーチであるマイケル・チャンさんとの練習を見ていると、本当にしつこいぐらいに反復練習をしています。この前も繰り返し、繰り返し、何十球も同じボールをフォアで打たせていました。まずはフォアの深いところ、次に浅いところ、その次はまた深いところ……というように。それも、「もっと振り抜け! もっと攻撃力を上げられるぞ!」と、常にチャン・コーチに声を掛けられながら。きっとチャン・コーチの目には、錦織選手のフォアからの攻撃はまだ足らないと映っていたのでしょう。「すごく良いモノを持っているのに、なんでもっと攻撃的に行かないの?」と思っていたのではないでしょうか。

 そのようなチャン・コーチの指導と、練習、そして試合でのプレイが、今年すべて結果となって表れました。これは選手にとってすごく自信になりますし、スタッフへの信頼も生まれます。もちろん、今季も負けた試合はあったし、良い事ばかりではなかったと思います。ただ、そのようなときでも、コーチやスタッフたちがうまく盛り上げながら戦ってきたのでしょう。今、錦織選手の周囲には、すごく良いチームが作れていると感じます。

(後編に続く)

【profile】
神尾米(かみお・よね)
1971年11月22日、神奈川県横浜市生まれ。母の影響で10歳からテニスを始め、東海大学付属相模高校卒業後の1990年にプロ転向。1992年の全豪オープンを皮切りにグランドスラムで活躍。1995年にはWTAツアーランキング24位まで登りつめるが、肩の故障により1997年2月の全日本室内テニス選手権の優勝を最後に25歳の若さで引退。現在はブリヂストンスポーツのイベントで全国を回るかたわら、プロ選手やジュニアの育成に携わっている。WOWOW解説者。

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