2014.12.03

神尾米が語る錦織圭「彼のフットワークは天性のモノ」

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 2014年のテニス界に旋風を巻き起こした錦織圭。今年の始めに、「世界トップ10に入るのが目標」と語っていた24歳の若者は、大舞台で何度もトッププレイヤーたちと互角の戦いを演じ、ついには「世界ランキング5位」まで登りつめた。今年1年間で、錦織の何が変わったのか――。元プロテニスプレイヤーの神尾米氏に今シーズンを振り返ってもらった。

ついに世界のトップ選手たちと肩を並べた錦織圭元プロテニスプレイヤーが見た「2014年の錦織圭」(前編)

 錦織圭選手の今季の活躍に関しては、もう、驚きしかないです。こんな日本人選手が出てくるとは、正直思っていませんでしたから。女子の世界では、かつて(クルム)伊達さんが世界の4位まで行けることを示してくれましたが、男子であそこまで行けるというのは、想像すら及びませんでした。

 錦織選手が16~17歳のころ、ラファエル・ナダル(スペイン)やロジャー・フェデラー(スイス)と練習している姿を見て、その才能は感じていました。「ケイは将来、絶対にトップ10に入ってくるよ」という彼らトッププレイヤーの言葉も耳に入っていたので。もっとも、当時は、「日本のテレビやメディアに向けて、社交辞令を交えて言ってくれているのかな」と思いましたけど(笑)。

 しかしそれらの言葉が、その後も一向に変わらない......。錦織選手が20歳、21歳になっても変わらない。ずっと彼らが「トップ10に入る」と言い続けていたので、「分かる人には分かる何かを、錦織選手は持っているんだろうな」と思っていました。ただ、それでも、グランドスラムの決勝やツアーファイナルズ(※)に行くまでとは想像していませんでしたね。「無理だ」と思っていたのではなく、そもそも、そんな発想すら持ち得ない世界だったんです。

※ツアーファイナルズ=ATPワールドツアーの年間最終戦。1月からの年間レースランキングの上位8選手に出場機会が与えられる。