2014.06.12

2度目の全仏V。マリア・シャラポワを影で支えた日本人の存在

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki photo by Getty Images

「コーチのスベン、私を信じてくれて、ありがとう。ジェローム、私を健康な状態に保ってくれて、ありがとう。そしてここにはいないけれど、ユタカ。私のフィジカルを強化し、クレーの上でスライディングできるようにしてくれて、ありがとう」

 愛しくてたまらない銀色のトロフィーを胸に抱き、マリア・シャラポワ(ロシア)はチームスタッフひとりひとりの名前を挙げて、感謝の言葉を重ねていった。

フレンチオープンの優勝トロフィーを持って笑顔を見せるマリア・シャラポワ 2012年に続き2度目となる、フレンチオープンの優勝者スピーチ。今回の優勝でフレンチオープンは、彼女が唯一、複数回優勝したグランドスラムとなった。

 それにしても……、である。数年前に、シャラポワがフレンチオープンを2度も優勝すると見た識者がいたら、それは相当の慧眼(けいがん)の持ち主か、あるいはかなりの捻(ひね)くれ者だ。

「もしも数年前に、『あなたは他のどのグランドスラムよりも、全仏でたくさん優勝することになる』なんて言ってくる人がいたら、私は飲みに出かけちゃうか、あるいはその人に、『飲みに行ったほうが良いわよ』って言うわね」

 トロフィーを満足そうに眺めながら、シャラポワは優勝会見で笑みをこぼした。

 本人も認めるように、多くの人がシャラポワのフレンチオープン優勝に懐疑的だった最大の理由は、クレー(土)という独特なコートの特性にある。クレーコートは、足もとが滑る。また、バウンド後に球速が著しく落ちるため、ラリーが長引きやすい。ゆえにフットワークに難のある選手や、体力に不安を抱える選手には不利なコートだ。ドロップショットやロブが効果的なため、多彩な球種が打てる技巧派が脚光を浴びるステージでもある。