2013.06.05

【テニス】5度目の対戦。錦織圭がナダルを本気にさせたワケ

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki
  • 神仁司●写真 photo by Ko Hitoshi

4回戦に進出した錦織圭(左)は大会3連覇中のラファエル・ナダル(右)に戦いを挑んだ「またナダルと試合できるのは、『運命』かなと思います」

 錦織圭がラファエル・ナダル戦を控え、そう口にしたのは、約1年前のマイアミ・マスターズでのことである。実は、錦織はその前年の2011年にもマイアミでナダルと戦い、敗れたものの大きな手応えを感じていた。同じ場所、同じ大会、同じ相手と戦うことで、錦織は自身の成長を測ろうとしていたのかもしれない。

 この時だけではない。錦織はナダルという巨大な壁に挑むことで、自らの現在地を確かめ、世界との距離感を把握してきた感がある。

 ナダルと初めて対戦したのは、まだ錦織が18歳の2008年。若くしてツアー初優勝を成したテニス界の新星は、当時世界ランキング2位のナダルを独創的なショットで慌てふためかせ、セットを奪う大健闘を見せている。

「圭と初めて対戦したのは、2008年のクイーンズ大会(ロンドン)。もう随分と昔のことだ。フルセット(6-4、3-6、6-3)の試合だったよ」

 今年の全仏オープン4回戦での対戦を前に、ナダルは5年前を回想した。錦織にとって思い出深い一戦は、ナダルにとっても、若き才能の台頭として忘れがたい衝撃であったようだ。

 2度目の対戦は、錦織が右ひじのケガによる1年近い休養から戻ってきた直後の、2010年ウインブルドンのセンターコート。結果はストレートの敗戦ながら、当時世界ランキング1位のナダル相手に自分の攻撃が通じた事実は、空白の時間で多くを失った錦織にとって、未来を信じる大きな根拠となった。
 
 もっと遡(さかのぼ)るのなら、両者が初めてボールを打ち合ったのは、2006年の全仏オープンということになるだろう。当時16歳の錦織は、決勝を控えたナダルの練習相手を務めたのだ。