【テニス】錦織圭、全豪直前の心境「もう僕も、若手ではない」
2013年の目標は「トップ10」と語る錦織圭。昨年の全豪ベスト8を超えられるか?「もう僕も、若手と言える年齢ではない」
これはここ1年、錦織圭がよく口にする言葉だ。
現実的にいうと、今のテニス界の中で23歳の錦織(世界ランキング18位)は、まだ『若手』の部類に属する。錦織よりも年下のランキング上位選手は、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ/22歳/世界ランキング15位)ただひとり。それにもかかわらず、錦織が「若くない」と感じているのは、自分の足跡を照らし合わせる対象が、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)や、同3位のアンディ・マリー(イギリス)だからだ。「彼らが20歳のころには、すでにトップ10に入っていた」という思いが、テニス選手・錦織圭の時計の針を、他人よりはるかに早く刻ませている。そしてその焦燥に似た上昇志向は、ジョコビッチやマリーらの住む領域が、本格的に視野に入ってきたことの証でもあるだろう。
「今年の目標は、トップ10です」
23歳の誕生日とほぼ同時に迎えた2013年シーズン、錦織はためらうことなく、そう口にした。
2013年1月14日から始まる全豪オープンは、新シーズンの本格的な始まりを告げるグランドスラムであり、錦織圭にとっては昨年、ベスト8進出を果たした思い出深い大会でもある。それから1年――、灼熱のメルボルンに戻ってきた錦織は、あらゆる面で昨年とは大きく異なっていると感じられた。
まずは、シード選手としての立ち位置だ。1年前の錦織は、初めてシード選手としてグランドスラムに挑んでいた。だがその地位は必ずしも、心地良いものではなかったようだ。
「シードが自分に有利だとは思っていない。シードがついていなくても強い選手がゴロゴロいるので、初戦から大変なことには変わりありません」
初戦を迎えるにあたり、昨年の錦織はそのように発言していた。
だが、今年は違う。1月14日に初戦を迎える対戦相手が世界ランキング63位のビクトル・ハネスク(ルーマニア)に決まったとき、錦織は「まあまあの組み合わせ」と口にした。その言葉の真意は、「(ハネスクは)中堅どころで、爆発力もある選手だが、勝たなくてはいけない相手。プレッシャーを感じずに戦える」ことにあると言う。「目指すはベスト8以上」という言葉にも象徴されるように、上位進出はシード選手として当然だというメンタリティが、今の錦織には備わっているようだ。
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