【テニス】なぜクルム伊達は全豪で3回戦まで進めたのか?

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi  photo by Ko Hitoshi

全豪で女子最年長となる勝利を挙げたクルム伊達公子全豪で女子最年長となる勝利を挙げたクルム伊達公子「Come on!!」

 クルム伊達公子は、口を縦に大きく開き、メルボルンの青空に響き渡るほどの声で叫びながら、右手でガッツポーズをつくって勝利の喜びを爆発させた。

 クルム伊達(100位)は、オーストラリアンオープン(全豪)1回戦で、第12シードのナディア・ペトロワ(ロシア/12位)を6―2、6-0のストレートで破るアップセットをやってのけた。ビッグサーバーのペトロワに対し、リターンから攻撃的に打ってプレッシャーをかけ、相手に持ち味を出させなかった。

 クルム伊達にとって、全豪では1996年以来17年ぶりのシングルス勝利となり、2008年に再チャレンジを始めてからは、5度目の挑戦で全豪初勝利となった。42歳での勝利は、1968年のオープン化(プロ解禁)以降、大会女子最年長記録だ。

「もちろんグランドスラムで勝てたというのは、大きな1勝であることに間違いない。でも、それよりもケガがなく体の調子が良く、テニスもいい状態でグランドスラムに入れた。その中で、レベルの高いテニスができ、ランキングが高い選手に勝ち切れたことが何よりも大きい」

 こう語ったクルム伊達の快進撃は続く。気温39.9度の灼熱の中で行なわれた2回戦も勝利し、95年以来18年ぶりの3回戦進出を果たした。再チャレンジ後初のベスト32で、42歳での3回戦進出は、全グランドスラムを通じて2番目の年長勝利となった。

 昨年末、WTAランキングが146位まで落ち、13年シーズンはグランドスラム予選からの戦いも辞さない覚悟だった。だが、再びランキングを上げるため12年シーズン最後に出場したツアー下部のITFドバイ大会で優勝。99位までランキングを戻して、全豪本戦に滑り込んだのだった。

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