4カ国語を操る東大ラグビー部副将・領木彦人が振り返るまさかの敗戦「ショックのあまり、自分で自分の記憶を消しちゃったんですかね」 (2ページ目)
「みんなのキーワードとなった『現場』に人の数をかけすぎると外を余らせてしまうんじゃないか、みたいな頭でっかちなことを考えなければ、自分たちのラグビーは通用することを慶應戦で実感できたことは大きかったと思います。現場を起点に勝負する、現場を起点に勝負ができる。それができればゲームがつくれるところまでは共有できていました」
【記憶をなくすほどのショックを受けた敗戦】
その初戦、上智大を相手に前半、フォワードで圧倒した東大だったが、後半、残り1分からトライを1本、さらにロスタイムにもう1本、トライを取られて31−26と5点差まで追い上げられてしまう。負けるわけにはいかない相手にかろうじて5点差で逃げ切ってのノーサイド、薄氷の勝利だった。
現在の対抗戦はBグループが8校、入れ替え戦に出場できるのは上位2校。昨年の1位は成蹊大、2位が明治学院大で、入れ替え戦では成蹊大が日体大に、明治学院大が立大に敗れていずれもAグループ昇格はならなかった。
3位は武蔵大で、東大は4位。つまり昨シーズン、Bグループで5位以下だった上智大、成城大、一橋大、学習院大に負けるわけにはいかない。下位の4校と当たる序盤は全勝でクリアし、終盤の上位3校を倒す、というのが目標に掲げた「全勝」「入れ替え戦出場」を達成するための東大のシナリオだった。領木がこう話す。
「全勝という目標は間違っていないと思っています。自分たちの限界を自分たちでセットしちゃったらそこまでしか行けないし、高いところを目指さないと目標には届かない。入れ替え戦を目指すだけだったら、1敗はできるということになって中途半端になります。だから目指すのは全勝だったのに、まさか2試合目で......。
あの負けた成城との試合、僕、記憶失っちゃったんですよ。最後の5分から何も覚えてない。あいさつも、終わってからの円陣も、何も覚えていない。僕、試合の細かいことを一つひとつ覚えているタイプなのに、ショックのあまり、自分で自分の記憶を消しちゃったんですかね」
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