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ラグビー日本代表、ふたりの外国籍選手がオーストラリア相手に互角の勝負「これが日本への恩返しの方法」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【日本の国歌は私の国歌】

 そしてもうひとり、紹介したい外国籍選手はFLベン・ガンター(埼玉ワイルドナイツ)。身長195cm、体重120kgの見事な体躯を誇るオーストラリア出身の28歳だ。

 ガンターは母の祖国タイで生まれ、1歳から養父母のもとオーストラリアで育った。高校卒業後はオーストラリアでプロ選手を目指すも契約には至らず、軍隊に入隊しようと考えていた。しかし軍隊に申請する2週間前、縁があってワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(当時)に誘われて2016年に来日。そこからずっと日本でプレーを続けている。

「子どものころは、いつか自分が(ワラビーズに選ばれて)オーストラリアの国歌を歌う日が来ることを望んでいた」という。しかし2021年10月のオーストラリア戦で初キャップを獲得し、2023年のワールドカップのスコッドにも選ばれた今では、「日本の国歌は、私の国歌となっています。そのことをとても誇りに思っています」と語る。

 2023年ワールドカップは残念ながらピッチに立つことが叶わなかった。しかし、2027年ワールドカップを「最終的なゴール」と定め、今は研鑽を積む日々を送っている。

 今回のオーストラリア戦では、後半21分に4点差に迫るトライも挙げた。

「あれはすばらしいチームトライでした。たまたま適切なタイミングで(自分が)適切な場所にいただけです。本当は(直前にボールを持っていたSH藤原)忍に与えられるべきトライで、僕はただフィニッシュを任されただけ」

 ガンターはこのワラビーズ戦でも21回のタックルを決めたように、本来はタックルやジャッカルを武器とする守備の人だ。

「守備でチームを助ける方法として、タックルが自分の役割だと感じています。日本代表のアタック力はすばらしい。だから僕はディフェンスで存在感を高めて、相手の勢いを止めることに集中しています。これからも続けます。これがこの国への恩返しの方法です」

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