号泣の桑井亜乃から永遠にタックルを受け続けた中村知春 親友同士が語るラグビー愛「でも、ラグビーは愛してくれない」 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【ラグビー界への恩返しに向けて】

――おふたりは、今後はどういった活動をしていくのでしょうか。

中村 全部の大会、これが最後になるかもって思いながら戦っていました。よかったことと苦しかったことの比率で考えたら苦しかったことのほうが本当に多かったですが、終わりを意識しながら戦えたこの3年間は、非常に幸せでした。

 それからサクラセブンズの価値を上げるためにも、自分とチームの距離を間違えないようにしないといけませんでした。好きすぎて、「サクラセブンズはこうでなきゃ!」という立場にはなっちゃいけないと思っていました。

桑井 「昔のほうがきつかったよ!」とか絶対言っちゃダメだよ(笑)。

中村 コーチはやりたいなと思います。でもセブンズしか知らないので、ちゃんと教えるのであれば、もっと外の世界をたくさん見ないといけないと思っています。

桑井 レフェリーを目指して3年、自分で動いて行動して、本当に密に過ごしてきたからこそ、新たなステージを見てみたい。次のステップに進まなきゃいけないという気持ちです。海外に留学したいという思いもあります。

中村 私は正直、やりきったと思っているので、とりあえずちょっと一回ゆっくりしたいです。それくらい一生懸命に生きてきちゃったから。ただ、ラグビーが好きなので、もっとラグビーを知りたいと思います。

桑井 レフェリーやってみる?

中村 いや、桑井の後は無理だから(苦笑)

――改めて、応援してくれたファンへのメッセージをお願いします。

中村 「本当にありがとうございました」という言葉に尽きます。東京オリンピックに落選した時に、温かいメッセージをたくさんいただいて、こんなに私のことを応援してくださる方がいるのとか思いました。

 そういう経験をしたからこそ見えなかったものが、本当の意味で見えるようになりました。またコミュニケーションを避けない、伝えるべき時に伝えなきゃいけないことの大事さを学んだので、ラグビーに限らず、今後、みなさんから学んだものをきちんと言葉や形にして、お返ししていきたいです。

桑井 リオデジャネイロオリンピックの時もパリオリンピックの時も、ひとりだったら絶対達成できなかったです。本当に応援してくださった人たちのおかげでオリンピックの舞台に立てたという思いがあるので、みなさんには本当に感謝しています。だからこそ、いろんな方々に恩返しをしたいという気持ちで、これからもグラウンドに立つので、引き続き応援していただければ幸いです。

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