号泣の桑井亜乃から永遠にタックルを受け続けた中村知春 親友同士が語るラグビー愛「でも、ラグビーは愛してくれない」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

――今回、ふたりがパリオリンピックに出場して、後輩たちや日本ラグビーに残せたと思うものは何ですか。

中村 私が何をどれだけ残せたかということはわからないですが、自分としてはいい仕事ができたと思います。後輩たちには、本当にちょっとでいいので、いつか、どこかで私がこれを言っていたと思う瞬間があれば、自分を褒められるかな。後輩たちに次のバトンを渡して、私が悔しいと思うくらい、サクラセブンズの価値をより上げてほしい。

桑井 私が活躍することによって、選手が終わった後にセカンドキャリアとしてレフェリーという道もあると気づいてもらえたらいいですね。目指すべき存在にならないと、レフェリーを目指す人はいないと思っていたので、だから私自身はグラウンドの上で堂々と、そういう存在でありたいっていう思いが強かった。世界を経験している選手はやっぱり強いと思うので、サクラセブンズからレフェリーになってくれる人が出てきてくれないかな。

中村 桑井のあとは、なかなか思えないよ。

桑井 私も最初はレフェリーに興味なかったんですが、「一回やってみたら面白いよ」と言いたいですね。
パリ大会でレフェリーを務める桑井亜乃 photo by JMPAパリ大会でレフェリーを務める桑井亜乃 photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る――おふたりにお聞きします。サクラセブンズや日本の女子ラグビーは、もっとこういう風になってほしいという思いはありますか。

中村 出発前、オリンピックは「ボーナスステージ」という言い方をしましたけど、世界を変えるためのボーナスステージが、本当にオリンピックの4年に一回のこのチャンスだけというのを見てきました。勝つとどんな変化があるのかも、選手たちはわかっていると思うので、やっぱりいい思いをしてほしいですよね。

 それが私たちも含めて、サクラセブンズを作ってきた先輩方への恩返しかなと。サクラセブンズには、女子ラグビーをやっていたことを誇りに思えるような存在になってほしい。出場するだけでなく、オリンピックとか世界大会で結果を出すというフェーズになってきていると思います。

桑井 「女子がラグビーをやるの?」というフェーズはもう終わったと思っています。だからこそ、女子ラグビーも男子に負けないくらい強くなってほしいですし、逆に女子ラグビーがラグビー界を引っ張っていくぞというところまでいってもらいたいです。サクラセブンズにはそういったパワーがどんどんついてきているし、次のオリンピックではメダルを獲ってほしいという期待も込めて、頑張ってほしいですね。

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