リーチ マイケルが「東芝愛」を貫き初の日本一 10年ぶりに「潤滑油」として徹したキャプテンシー (2ページ目)
【ラグビーIQを上げたMVPのモウンガ】
試合終了直前の後半40分、ブレイブルーパスはワイルドナイツにトライを許し、再逆転された......と思われた。リーチも「さすがパナソニック。いつも最後で負けるなと思った」という。しかしTMOの末、トライ前の一連の攻撃で引退を表明していた堀江のパスが前だったという判定となり、トライはキャンセルされた。
そのような結末だったためか、チームメイトが大声で喜ぶなかでも、リーチは歓喜を爆発させることはなかった。高校、大学、社会人と、主要大会では「人生初」の日本一にもかかわらず。
「もっと『よっしゃー!』という感じが出ると思っていたんですが......堀江さんの最後の試合で、一緒に最後の最後まで同じピッチに立ったことは、寂しさ半分、勝った喜び半分、です。優勝してホッとしていますが、本当に複雑な思いもあります」
ワールドカップに4大会連続出場した日本代表の仲間を、リーチはおもんぱかっての感情だった。
今季の試合を振り返れば、オールブラックスの司令塔で今季のリーグMVPに輝いたSOリッチー・モウンガの存在も大きかった。「意思決定、1週間の過ごし方、試合のコントロール術、選手やスタッフへの意識の持たせ方など、ラグビーIQのレベルをもう一段階上げてくれた」とリーチも賞賛する。
ただ、14シーズンぶりのブレイブルーパスの優勝は、リーチ主将抜きでは語ることができないだろう。「ポジティブな声がけをした」とリーチが言うとおり、前半の序盤に2度もゴールラインのギリギリでトライを防ぐなど、声と体を張ってチームを引っ張った。チームメイトもそれに応えて、決勝まで無敗で得点力1位のワイルドナイツ相手に、東芝ラグビー伝統のFWの接点、さらにはセットプレーの強さで試合を優位に進めた。
【若手から「リーチさんを優勝させたい」声】
トップリーグ時代に5度の優勝を誇るブレイブルーパスは、2015年度の準優勝からは9位、6位、11位と低迷した。「周りのクラブは進化したが、東芝はとどまっていた」(リーチ)。復活を目指すチームは2019年、ニュージーランド人のブラックアダーHCを招聘し、9位、4位、5位と、再びチームは上位に進出できるようになっていった。
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