ラグビー日本代表に朗報 松島幸太朗の調子が上向き!「フェラーリ」は蘇るか (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by ©JRFU

【前回大会でハットトリックを決めた「フェラーリ」】

 後半12分、日本は実にジャパンらしいアタックを見せる。相手のペナルティからラインアウトのチャンスを得て、テンポよくボールを継続。ミスなく17次の攻撃を重ねていき、最後はSO松田力也のオフロードパスにタイミングよく走り込んだ松島がボールをもらい、スピードを活かして右中間へトライを決めた。

 また、後半31分にCTBディラン・ライリーがトライを挙げたプレーも、我慢強く攻撃を続けるジャパンらしいアタックだった。残り10分で21-28まで追い上げたことは評価できる。

 ただ、SO李承信と松田が2本ずつプレースキックを外したことは、結果的に大きく響いた。いい形でトライが取れていただけに、キックが全部入っていれば9点を上積みできており、イタリアにもっとプレッシャーをかけられていたことは間違いない。本番でのプレースキックの成功率は90%以上を目指したいところだ。

 試合を終えて、松島はこう振り返った。

「相手のほうが一枚上だった。すごいアタッキングマインドで、いいアタックをしてきた。自分たちが見習うところもある。自分たちはもっとスタンダードを上げないといけないし、メンタリティも見つめ直さないといけない。(ワールドカップでは)1試合でも落としたらベスト8はいけないという覚悟でやらなきゃいけないので、一戦、一戦、あまり先を見ずにやっていきたい」

 しかしながら、ワールドカップ直前になって松島が調子を上げてきたことは、日本代表BK陣にとって非常にポジティブな要素だ。

 過去2大会のワールドカップ、松島はWTBとして全試合で先発。前回大会では開幕戦からハットトリックを達成して計5トライを挙げ、その圧倒的なスピードから「フェラーリ」と称された。

 また、15人選ばれたBK陣のなかで、松島は唯一の「海外組」である。2020年からフランスのクレルモンに2シーズン在籍し、欧州のトッププレーヤーのなかで技術を磨いてきた。

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