齋藤直人「本気でワールドカップを目指していなかった」4年前の後悔 入社して1年でプロになった理由 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 2019年の(最終スコッド30名の)メンバー発表があった日、 僕は菅平の早稲田大ラグビー部の宿舎で合宿中でした。メンバーを見た時、すごくかっこいいなと思ったと同時に、自分にもチャンスがなかったわけじゃなかったので、本気でワールドカップを目指していなかった自分に対し、すごく悔しい気持ちを感じたことは覚えています」

── メンバー発表の時、改めて本気で「ワールドカップに出たい!」と思ったわけですね。

「はい。それまではあまり強く思っていませんでした。自分のレベルが正直、世界のなかでどのくらいかもわかっていなかったです。

 2018年の時は、口では『日本代表になりたい』とか言っていたんです。だけど、具体的に『ワールドカップに出たい』とまでは言えてなかったかな......。あのメンバー発表のタイミングは、僕のなかですごく大切な瞬間です」

── あの日の悔しさが齋藤選手の原点になっているのですね。2019年のワールドカップ後、キャプテンとして早稲田大を優勝に導いたのち、1週間も経たないうちにサンウルブズにも合流しました。

「やっぱり、それらの行動も悔しさの表れだったと思います」

── スーパーラグビーはコロナ禍で途中終了しましたが、2020年にはサンゴリアスに再び入り、1年目から活躍してプロ選手にもなりました。

「サンウルブズの一員としてスーパーラグビーでプレーさせてもらったことで、世界とのレベルの差を感じることができました。その時に思ったのは『スーパーラグビーのプロの選手とすごく差があるのに、働きながらラグビーをしていたら、さらにどんどん差が開いていく』と。

 その気持ちを一番強く感じたので、プロになって勝負したいと。同期の中野将伍(早稲田大→東京サンゴリアス/CTBセンター)も同じタイミングでプロになりましたが、サントリーに社員で入社して1年でプロになったのはあまり例がなかったので、本当に感謝しています」

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