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五郎丸歩「日本代表への忠誠心はなかった」。若い頃の正直な思い (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 2015年W杯初戦の南アフリカ代表戦は象徴的な試合でしたが、自分として一番大事に感じていたのは、W杯3戦目のサモア代表戦です。南アフリカ代表に勝って、世の中のラグビー日本代表に対する見方がガラッと変わりました。ですが、2戦目のスコットランド代表戦で大敗したので、ラグビーを知らない人は『まぐれで勝ったのでは?』というふうに感じたと思ったんです。

 ただ、次のサモア代表戦までは中9日空いたので、もう言い訳はできない。しかも、放映時間は日本時間の22時半キックオフ。日本人がみんな起きている時間でした。

 ラグビーファンは4戦目のアメリカ代表戦(日本時間・朝4時キックオフ)も見るだろうけど、一般の人たちが見る機会はサモア代表戦しかない。日本代表の真の強さが試される試合だと、南アフリカ代表戦以上にプレッシャーを感じていました。だから勝つことができて、本当にうれしかったです」

---- 五郎丸さんにとって、エディー・ジョーンズHCはどういう存在でした?

「正直に言うと、僕は若い頃、日本代表に対しての忠誠心があまりなかった。昔は『何で日本代表にこんなに外国人選手がいるんだよ』という気持ちがあり、外国人に対しての劣等感もあったので、日本代表に対して『俺はいいや......』というネガティブな感情があったんです。ラグビーの本質を理解できていませんでした。

 ただ、2012年に新体制になって日本代表に呼ばれた最初の合宿の時、エディーHCは日本語でミーティングをしてくれたんです。その時『この人とだったら、がんばっていけるかも。自分自身を全部犠牲にしてもいいな』という感じがした。たったひとつの言葉かもしれないですが、自分の中では大きかった。日本人に対して、この人はしっかり誠意を持って取り組んでいると思えたのです」

---- それだからこそ、4年間、日本代表にフルでコミットできたわけですね。

「2015年W杯までプライベートも犠牲にしてフルコミットしたので、大会後はやり切った感じがめちゃくちゃしました。結果、燃え尽き症候群みたいになりましたね。

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