2021.06.28

五郎丸歩「日本代表への忠誠心はなかった」。若い頃の正直な思い

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

五郎丸歩インタビュー@前編

 2015年ラグビーワールドカップ(W杯)では「ブライトンの奇跡」と呼ばれる南アフリカ代表からの大金星を獲得し、プレースキック前の独特のルーティンで爆発的な人気を博したFB(フルバック)五郎丸歩。ラグビー界きってのスター選手が今季、35歳でブーツを脱いだ。

 引退を決意するまでに至った経緯、日本代表通算57試合のなかでのベストマッチ、そして長きにわたって貢献してきた日本ラグビー界に残せたものについて話を聞いた。

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エディー・ジャパンに五郎丸歩の存在は欠かせなかったエディー・ジャパンに五郎丸歩の存在は欠かせなかった この記事に関連する写真を見る ---- まずは引退した今の心境と、35歳での引退にこだわった理由について教えてください。

「22歳でヤマハ発動機に入った時から、35歳という区切りをターゲットにしてきました。チームを変えればまだプレーできたかもしれませんが、性格上、フラフラするような人間じゃないので。ヤマハ発動機に恩返しをして終えたい、という思いが強くありました。

 今は本当に、すっきりした気持ちです。後悔はひとつもありません。次のステージに向けて力を溜めている感じです。自分はプレースタイル的にキックを売りにしているので、現代ラグビーと今の自分の体力を考えると、やっぱり今年が引きどころかなと思いました」

---- 日本代表では57試合に出場してテストマッチ最多711得点を記録しました。日本代表での思い出を振り返ってもらえますか?

「早稲田大2年の19歳の時に南米遠征で初キャップを得て、そのまま順風満帆にいくのかと思っていました。しかし、そのあとは代表に定着できず、20代は苦しんだ時期が長かったという印象です。

 2012年にエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が指揮官になった時、最初の日本代表合宿で『バイスキャプテンをやってくれ』といきなり言われたのを覚えています。『何で俺だろう?』と周りのメンツを見たら、けっこう自分が歳を取っていたことに気づきました(笑)。