ラグビー天理大、涙の初優勝。どうしても負けられない理由があった (2ページ目)
天理大は例年、関東のチームと春・夏に6、7試合ほど行なうことで、自分たちの立ち位置を確認できていた。今季はコロナ禍で関東のチームと対戦することはなかったが、関西大学Aリーグで試合を重ねるごとに課題を修正し、この大学選手権に臨んだ。
「アタックもディフェンスも、結局は『バトル』です。接点をどこに持って行くか(が大事)」
小松監督は関東勢と対戦する前、ディエンスではより前に出てプレッシャーをかけて、アタックではかつての強みだったフラットなラインを多用するなど、攻守にわたってシステムを修正。その結果、流通経済大(関東リーグ戦2位)に78−17、そして明治大(関東対抗戦1位)に41−15と快勝し、大きな手応えを掴んで決勝の舞台へとやってきた。
早稲田大戦のテーマは、キックを使って相手のFB(フルバック)河瀬諒介(3年)といったランナーにボールを持たせて、敵陣にて「ディフェンスでプレッシャーをかけること」だった。早稲田大キャプテンのNo.8(ナンバーエイト)丸尾崇真(4年)は試合前に「先手を取りたい」と語っていたが、キックオフ直後から主導権を握ったのは、守備で試合のリズムを掴んだ天理大だった。
試合開始早々、天理大はHO(フッカー)佐藤康(3年)とPR(プロップ)小鍛治悠太(4年)が一緒になって相手ボールを奪う。そして前半3分、LO(ロック)アシペリ・モアラ(3年)がラックを越えてマイボールにし、CTB市川敬太(4年)につなげて先制トライを奪った。
さらに前半10分、今度は小鍛治がジャッカルを決めると、その流れでラインアウトからモアラがパワーで押し込んでトライ。ゴールも決めて14−0となり、完全に天理大のペースとなった。
その後も、天理大は持ち前のアタック力を早稲田大に見せつける。とくに中心となっていたのは、1年生から先発として出場してきた4年生のSH(スクラムハーフ)藤原忍、SO(スタンドオフ)松永拓朗、フィフィタの3人だ。
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