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五輪断念のラグビー福岡堅樹が、
「実録マンガ」に登場したわけを語る (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 松田崇範●撮影 photo by Matsuda Takanori


 この話をマネジメント会社の担当者から聞いた福岡は、ビックリすると同時に、「マンガに取り上げてもらうことなんて人生でほとんどないので、マンガになるのはありがたいな」と思ったという。

 加えて、マンガ好きの福岡が海外遠征時もいつでも読めるように単行本を持ち歩いてる『キングダム』が連載されているヤングジャンプ、そのスポーツ増刊に自分が出られることを、本当にうれしいことだと感じていた。

 こうして、3月上旬に取材がスタートした。

「今まで、他のスポーツ記事ではあまり取り上げられてこなかった、細かいところまでマンガでは描いてもらえたら、と思いました」

 子供の頃は落ち着きがなかった自分が5歳の時に出会ったラグビーにハマっていく話、中学では陸上部に入り、100m走では11秒台に突入し、風になったと感じた話、ラグビーのクラブチームの同期のみんなで福岡県立福岡高校に入学して、花園に出場しようと誓った話、高校時代は2度の大ケガをするものの、3年の時に花園でプレーすることで自分のラグビー人生が変わったという話、医学部を目指し浪人したが、この時はその夢がかなわなかった話......。

 福岡の口から、ラグビーで日本代表になった自分自身を形作ってきた、様々なエピソードが事細かに語られる。

「このマンガを読んでくれた人たちにとって、何か共感してもらえることがあるといいですよね」

綿密な取材をもとにつくられた実録マンガ作品 (ⓒ集英社)綿密な取材をもとにつくられた実録マンガ作品 (ⓒ集英社)
 取材終了後に初めて足を踏み入れたヤングジャンプ編集部では、王騎将軍の矛のレプリカに釘付けになった福岡が、それを片手で軽々と持ち上げ、ポーズを取りながら『キングダム』の世界を堪能していた。

 もしかすると、取材を一番楽しんでいたのは福岡だったかもしれない。

 ところが、福岡の実録マンガ制作が進んでいくなか、日本を新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した──。

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