早稲田大がキーマン復活で快勝。敵将も「バックスは理想の形」と讃えた (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji



 前半10分、中野が自陣のラインアウトから縦に突いて左に展開すると、それを受けてFB(フルバック)河瀬諒介(2年)がチャンスメイク。そして最後はWTB(ウィング)古賀由教(3年)が先制トライを挙げた。

 前半19分も、自陣のスクラムから中野が縦に突き、相手ディフェンスを3人引き寄せながらオフロードパスをSO(スタンドオフ)岸岡智樹(4年)につないだことが、河瀬のトライへと結びついた。さらに前半24分にも中野は左サイドでまたもオフロードパスを通し、古賀がそのままトライを挙げた。

「警戒していた早稲田大のバックスに中野が入ったことで、それがひとつのくさびとなった。結果、早稲田大の理想とする形となり、それをうちが止められなかった」

 天理大の小松節夫監督も、中野の活躍に脱帽した様子だった。

 中野は11月に練習で右ふくらはぎを負傷し、公式戦は9月15日以来。久々の実戦となったが、中野はこう振り返る。

「復帰した時にいいパフォーマンスをしようと、毎日リハビリに取り組んでいました。(試合では)チームを勢いづけることと、味方のスペースを作ってトライを獲ることをやろうと。結果、自分の縦(への突進)を起点に外側の速いバックスでトライが獲れた」

 天理戦に快勝できた要因は、中野の復帰だけでなく、FWのセットプレーにもあった。試合後、相良監督も思わず「出来すぎ」と口にしたのが、ラインアウトディフェンスだった

 副将のFL(フランカー)幸重天(ゆきしげ・たかし/4年)とNo.8(ナンバーエイト)丸尾崇真(3年)が、相手のラインアウトにプレッシャーをかけて攻撃の起点をつぶした。天理大はモールを強みとしていたが、ほとんど自分たちの形で組むことができず。天理大の主将FL岡山仙治(ひさのぶ/4年)も「自分たちが(ラインアウトで味方を)上げるところに同じタイミングで上げられた」と相手を称えるしかなかった。

 ラインアウトの分析は、メンバー外の沖野玄(はるか/4年)や中尾悟(4年)が練習で「仮想・天理大」となり、あらかじめ準備していたことが功を奏した。

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