受験モード突入の浦和高校ラグビー部が、桐蔭学園に完敗して得たもの

  • 門脇 正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori photo by Sportiva

 やはり、Aシードの壁は高かった。

 花園での1勝、そして2勝目を挙げ花園で正月を迎えるという、自分たちだけでなく、ラグビー部OBの夢もかなえた埼玉県立浦和高校(通称・浦高)ラグビー部。だが、2020年の元旦、第99回全国高等学校ラグビーフットボール大会の3回戦で、前大会準優勝校の桐蔭学園(神奈川)を相手に、その快進撃が幕を閉じた。

 試合は、1回戦の玉島高校戦と同じく前半で風上に立った浦高が、キックオフ直後から主導権を握るべく猛アタックを仕掛けた。

 これに対し、Aシードの貫録で浦高の攻撃の芽を摘み取っていく桐蔭学園。逆に、ラグビーのお手本とも言えるような、何度も何度もフェーズを重ね、相手のほころんだラインの隙を突いていくプレースタイルで浦高を翻弄した桐蔭学園は、次々とトライの山を築き上げていった。

 前半終了時点で、浦高が奪われたトライ数は7、得点は0対45。

 後半に入っても、桐蔭学園の怒涛の攻めはとどまるところを知らない。しかし、けっして浦高ラグビー部フィフティーンの心が折れることはなかった。

 それが表れたのが、後半12分。

 浦高はサインプレーを積み重ね、精度を上げてきたラインアウトでキープしたボールを、お家芸とも言えるモールのドライビングで前進させ、桐蔭学園のディフェンスを40メートルも押し込む。ゴールライン付近ではフォワードとバックスが一体となり、最後はキャプテンの松永拓実(3年)が3試合連続となるトライ。

 この時、グラウンドの浦高フィフティーンと観客席の浦高大応援団がひとつになり、この試合一番の歓声が花園ラグビー場を包み込んだ。

浦高伝統のモールが貴重なトライにつながった浦高伝統のモールが貴重なトライにつながった
 最終的に、試合は桐蔭学園に合計12トライを奪われ、5対78の完敗。

 今シーズン、すでに「春の選抜」「夏の7人制」を制し、今回の「冬の花園」でも優勝を目指し、史上3校目となる高校三冠獲得を狙うAシードの桐蔭学園は、ひと味もふた味も違っていた。

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