2019.11.05

経済効果などラグビーW杯は大成功。
人気定着へ日本が推進すべき課題

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

 あぁ、夢のような楕円球の祭典が終わった。日本初開催のラグビーワールドカップ(RWC)は、大型台風の影響で48試合中3試合が中止となったが、日本代表の活躍もあって、国中を沸かせた。ワールドラグビー(WR)のビル・ボーモント会長は総括会見で「もっとも偉大なワールドカップとして記憶に残る大会となった」と評価した。

東京・有楽町の「ファンゾーン」で日本代表を応援して盛り上がる人たち

【多様性とワンチーム】

 大会組織委員会が目標に掲げていた「全会場満員」はほぼ達成された。観客動員数が170万4443人(台風による中止の3試合を除く)で、1試合平均3万7877人だった。チケットは販売した約185・3万枚のうち約184万枚が売れた。実に99・3%だ。

 横浜国際総合競技場での決勝では7万103人の観客を記録し、2002年サッカーワールドカップ決勝を上回った。大観衆の中、11の公用語を持つ多民族国家の南アフリカ代表が結束し、イングランド代表を圧倒し、3度目の頂点に輝いた。

 同国初の黒人主将、FL(フランカー)のシヤ・コリシがダイバシティ―(多様性)に富む南ア代表をリードした。貧困地帯出身の28歳は勝利後、言った。「違うバックグラウンドの選手たちが団結すれば、すばらしいことが達成できることを証明できた」

 ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が率いた日本代表のスローガンもまた、『ワンチーム』だった。選手31人中15人が海外出身という「多国籍チーム」。ニュージーランド出身のリーチ マイケル主将は「君が代」をみんなで歌う練習をしたり、広島や長崎へ原爆を投下された日本の歴史などを学んだりすることで、チームの融合と覚悟を促した。

 日本代表はティア1(伝統ある世界10チームのトップグループ)のアイルランド、スコットランドも破り、1次リーグ4戦全勝で初の決勝トーナメント(ベスト8)進出を果たした。ティア1以外の、ティア2(世界の第2グループ)で決勝トーナメント進出は2007年大会のフィジー以来だった。

 日本は準々決勝で南アに完敗した。リーチ主将は一夜明け会見でこう、言った。

「ジェイミーがワンチームを作り上げた。この強さを継続することが大事」

 リーダーグループの一人、SH(スクラムハーフ)の流大はベスト8入りの理由を聞かれ、「ワンチームになれたことです」と言い切った。