2019.11.03

イングランドに大ダメージ。
プロップの負傷→スクラム崩壊が誤算だった

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 よほど悔しかったのだろう。試合後の表彰式。イングランドの闘将、28歳のCTB(センター)オーウェン・ファレルは銀メダルを首にかけてもらうと、その後、壇上ですぐに首から外した。25歳のLO(ロック)マロ・イトジェはビル・ボーモント・ワールドラグビー(WR)会長に対し、首にかけてもらうことを拒んだ。残念な光景だった。

イングランドでは、キッカーも務めるオーウェン・ファレル

 試合後の記者会見。名将エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は「なぜ負けてしまったのか分からない」と繰り返した。

「4年間、ここまで準備をして、がんばってきたのに、残念だ。選手はほんと、ハードワークをしてきた。でも、うまくいかなかった。ラグビーとはこんなものだ」

 まるで準決勝で快勝したニュージーランドと立場が逆転したかのような展開だった。何もできない。ボール保持率は56%と相手を上回りながら、ボールを持たせられているような印象だった。南アフリカの壁を破れず、結局はノートライに終わった。

 誤算はずばり、開始直後の26歳の右PR(プロップ)カイル・シンクラーの負傷交代だった。味方同士で頭を打って場外へ、32歳のダン・コールが交代で入った。

 直後の相手ボールのスクラム。イングランドはずるずると押され、コラプシング(故意に崩す行為)の反則をとられた。勝利のシナリオが崩れる。まさかのスクラム、ファレル主将やチームに与えた精神的ダメージは大きかっただろう。

 シンクラーの退場のことを聞かれると、ジョーンズHCは頭を小さく振った。

「非常に影響があったと思う。ただ、けがは試合の一部だ。(試合には)23人の選手がいる。そのひとりを早い段階で失うことに対応することが重要なのだ」

 ただ、イングランドは対応できなかった。前半だけで、4つのスクラムのコラプシングの反則をとられた。これでは敵陣になかなか入れない。その他も、南アフリカのフィジカルを前面に出したシンプルなラグビーに押され、前半で4つのPG(ペナルティーゴール)を蹴り込まれた。