オールブラックスが連覇へ視界良好。「勝ちグセ」の差が勝敗を決した (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

「オールブラックスが非常にいいプレーをしていた。タッチキックをミスしてしまい、息を吹き返すチャンスを生かせなかった。呼吸もできなかった」

 試合後、この試合で指揮官を退くことが決まっているジョー・シュミットHC(ヘッドコーチ)は肩を落とした。

 連覇に向けて一歩前進したニュージーランドのスティーブ・ハンセンHCは、「ディフェンスと土台となるFWの1~5番の働きがよかった」と話した。劣勢になると予想されていたスクラムでも、互角に戦っていた。それだけ、この試合のオールブラックスのFW陣の奮闘ぶりは目立っていた。

「勝たなければ得られない経験がある。そこから何を学べるかが大事」。60歳の世界的名将は勝因について、選手たちの持つ「勝ってきた経験」を挙げた。

 たしかに、この試合で先発した15人中8人は、スーパーラグビーで3連覇しているクルセイダーズの選手だ。また、前回大会の優勝メンバーも8人揃えている。

「スーパーラグビーの決勝戦も、ワールドカップも、どの試合も同じルールでやるラグビーのゲームに変わりはない」。モウンガがそう言うように、大一番で選手たちの「勝ちグセ」が生きたのだ。

 ニュージーランド代表の準決勝の相手は、日本代表の前指揮官エディー・ジョーンズHCが率いるイングランド代表。10月26日、横浜国際総合競技場で激突する。

 オールブラックスの視界は良好だ。きっと次の試合も、スポーツファンを驚嘆させるトライを重ねてくれるだろう。

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