2019.10.20

オールブラックスが連覇へ視界良好。
「勝ちグセ」の差が勝敗を決した

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 オールブラックスが特別な試合でしか披露しないハカ、「カパ・オ・パンゴ」を踊る。その声を、スタジアムの半数以上を緑で埋め尽くしたアイルランドのサポーターが応援歌「フィールズ・オブ・アセンライ」でかき消す。

 48656人が集った試合は、まさしく決勝トーナメントにふさわしい雰囲気に包まれた。

「世界最高のSHのひとり」アーロン・スミスも大活躍 10月19日、ラグビーワールドカップ準々決勝――。3連覇を目指すニュージーランド代表(プールB/1位)と、大会前に初めて世界ランキング1位となったアイルランド代表(プールA/2位)が東京スタジアムで激突した。

 アイルランド代表はニュージーランド代表に対して、過去4年間で2勝1敗。近年で唯一、オールブラックスに勝ち越しているチームだ。一方、ニュージーランド代表は台風の影響で予選プール最終戦(イタリア代表戦)を行なっておらず、試合間隔が空いている。2007年大会の準々決勝でもオールブラックスは敗退しているだけに、もしかしたら……。そう予想するに十分な要素は揃っていた。

 過去を振り返ると、9−40、9−16と敗れた2試合では、アイルランド代表に先手を取られていた。そのため、キャプテンのNo.8(ナンバーエイト)キーラン・リードは「立ち上がりが大事」と語り、2016年と2017年の世界最優秀選手賞に輝いているFB(フルバック)ボーデン・バレットも「いいスタートを切ってプレッシャーをかける」と意気込んだ。

 その言葉どおり、オールブラックスは試合序盤から圧巻のパフォーマンスを見せる。

 前半6分にSO(スタンドオフ)リッチー・モウンガのPG(ペナルティゴール)で先制すると、前半14分には相手の反則から22メートルラインに入り、リードやLO(ロック)サム・ホワイトロックらFWが確実に前に出る。そして、一瞬の隙を見逃さず「世界最高SH(スクラフハーフ)のひとり」と呼び声高いアーロン・スミスがボールを持ち込んでトライを奪った。