2019.10.14

ついにエース福岡堅樹が大爆発。
歴史的勝利に「すべて捧げてきた」

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 スピードだけじゃない。視野が広くて、判断もはやい、激しくもある。日本のスピードスター、WTB(ウイング)の福岡堅樹、脂がのった27歳。まさにライオンのごとき「獅子奮迅」の活躍で2トライを挙げ、日本代表の歴史的勝利に貢献した。28−21で因縁のスコットランドを破り、初の決勝トーナメント進出を決めた。

スコットランド戦で2トライを挙げ、大活躍した福岡堅樹

「日本ラグビーの新しい歴史を創る、そのためにすべてを捧げてきました」。

 13日、横浜国際総合競技場。満員の約6万8千の大歓声が渦巻く中、日本の韋駄天はそう、声を張り上げた。ノーサイドの瞬間にはひとり、ピッチ上に突っ伏した。

「ほんとうに(すべてを)出し切った。ほんとうにやり切った。ほんとうに歴史を変えられた。そんな気持ちでした」

 特別な試合だった。大型台風が通り過ぎた横浜での試合だった。試合ができるかどうかは、この日朝までわからなかった。試合前には黙とうが捧げられた。

「ここで試合をするためにたくさんの人がいろんなところで(作業を)してくれました。そういった方々にお礼を言いたい。そして、(台風の犠牲者を)悼み、日本の力に少しでもなりたいと思ってプレーしました」

 W杯前に右ふくらはぎを痛めるなど、瞬発力がありすぎるゆえにけがに泣かされてきた。ようやく復調し、今大会初めて先発としてピッチに立った。前半6分に先制トライを許したあとの前半18分。左ライン際を疾走し、相手タックルにつまずきながらも左手でボールを内側にパスし、WTB(ウイング)松島幸太朗の反撃のトライを演出した。

 前半終了間際には、CTB(センター)ラファエレ・ティモシーの意表を突くゴロキックに反応し、ボールを右手でとると、イッキにダッシュしてインゴールに飛び込んだ。さらに圧巻だったのが、後半の開始直後のボーナスポイントとなる日本4つ目のトライだった。ラファエレがスコットランド選手をつぶしにいく。倒れまいと粘る相手が抱えるボールを右手で強引にはぎとり、ポーンとはじいた。