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姫野和樹のピンチをチャンスに変える力。
勝負どころでジャッカル! (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 そして、ついに帝京大1年の2013年7月、日本代表を率いていたエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ/現イングランド代表HC)の菅平合宿メンバーに選ばれる。だが、初日の練習で左足甲の中足骨を骨折して離脱。そのケガが長引き、その後の代表合宿に声はかからず、大学でも試合に出られない日々が続いてしまった。

 転機となったのは、トヨタ自動車に入社して1年目からいきなりキャプテンに任命されたことだ。2007年のワールドカップで南アフリカ代表を率いて大会を制した名将ジェイク・ホワイトHCが「帝京大出身の選手は勝ち方を知っている」という理由で、姫野をリーダーに抜擢した。

 そこからの姫野は、見事な成長曲線を描いていく。

 トップリーグでは新人賞に選ばれる活躍を見せて、2017年秋にジェイミー・ジャパンに初招集。11月4日のオーストラリア代表戦で初キャップを獲得し、さらには初トライも挙げた。さらに、2018年のサンウルブズでは11試合に出場し、一気にインターナショナルレベルを体感する。

「サンウルブズの経験はすごく大きかった。毎週、最高のレベルで試合ができ、自分の強みのボールキャリーに磨きがかかった。ブレイクダウンの部分でも絡む場面も多く出てきたし、強いタックルができるようになった。社会人になった当初とは、別の選手になっているんじゃないですかね? 今は自信満々です」(姫野)

 社会人になってからの2年間が、姫野を大きく成長させた。そしてワールドカップで、その成果を最大限に発揮したというわけだ。

 10月13日、日本代表はスコットランド代表戦を迎える。姫野は「必ず勝ちたい。勝ちます!」とキッパリと言い切った。

 大舞台でさらなる進化を遂げている姫野は、スコットランド代表戦でも勝負どころでジャッカルを決めてくれるはずだ。

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