2019.10.09

田村優は前回W杯より大成長。
運命のスコットランド戦へ「爆発する」

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 列島が日本代表の快進撃にわいている。そのチームを司令塔としてリードするのが、30歳のSO(スタンドオフ)田村優(キャノン)だ。10月13日。初のラグビーワールドカップ(W杯)決勝トーナメント進出をかけた大一番。相手は4年前のW杯で敗れたスコットランド代表だが、田村は「めぐり合わせかなと思います」と言葉に実感をこめた。

正確なキックで日本代表に貢献している田村優

「(日本は)4年前、中3日という苦しい状況で試合をして、今度は逆の立場(日本が中7日、スコットランドは中3日)で…。みんな、いろんな思いがあると思いますけど、それを試合で全部、出したいなと思います」

 4年前のラグビーW杯。日本代表は初戦で優勝候補の南アフリカを破る大金星を挙げながら、中3日で迎えたスコットランド戦では10-45で大敗を喫した。結局、この敗戦が響き、日本代表は1次リーグで3勝を挙げながらも、決勝トーナメントに進めなかった。

 田村はそのスコットランド戦、センター(CTB)として先発出場した。当時、W杯初先発の26歳。まだ若かった。自身のパスをインターセプトされ、相手ウイング(WTB)に独走トライを許した。その敗戦と悔恨があればこそ、「天才」はその後、たゆまぬ努力を続けたのだろう。大きく成長した。

 プレーに安定感を加えた。経験値と、パス、キックの精度が増した。ゲームを読む目、いわゆる戦術眼も鋭くなった。プレーに余裕が生まれ、視野が広がったからだろう、かつて、「試合の風景が遅く見えるようになった」と口にしていた。

 田村は正直だ。プレッシャーを楽しむと言いながらも、初の自国開催、開幕戦のロシア戦前は「(緊張で)10日間ぐらい眠れなかった」と打ち明けた。そのロシア戦こそ、プレーが硬かったけれど、2戦目のアイルランド戦、3戦目のサモア戦と動きが冴えてきた。指導陣に与えられたゲームプランを遂行すれば勝てる、との自信がプレーに満ちあふれている。

 サモア戦での好調の要因を聞かれると、田村は「3試合をして、からだも徐々になじんできたから」と、淡々と振り返った。

「大きいプレシャーは常にかかっています。でも、メンタル面、スキル面をしっかり1週間かけて準備をしていけば、あとは、なるようになると思うんです。完ぺきを求めすぎない。ほんとうにシンプルに、試合を100%楽しむだけです」