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釜石も神鋼も超える帝京大の8連覇。
逆転の主役は「平尾2世」松田力也 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 残りは20分弱。大事な時間帯でギアを上げることができたのは、赤いジャージーのほうだった。

 後半23分、SO松田の突破からチャンスを作って細かいパスをつなぎ、最後はWTB吉田杏(3年)が左隅にトライ。さらに後半28分にもSO松田がふたたびインゴールにキックし、それに素早く反応したスピードスターWTB竹山がトライを奪った。

 トライ後も、SO松田が左隅の難しい角度からゴールをしっかりと決めて33-19。勝負をほぼ決めた連続トライによって、帝京大の岩出監督は「最悪でも同時優勝」と思ったという。東海大も意地を見せて後半35分に33-26まで追い上げるも、最後は帝京大の粘りのディフェンスに屈してノーサイド。近年のなかでは、もっともレベルの高い決勝戦だった。

 試合後、岩出監督やキャプテンらとともに副キャプテンのSO松田も8度、胴上げされた。目の奧を少し赤くしたSO松田は、「後ろから見ていてもFWは頼もしかった。決勝まで来られたことに感謝して、80分間、信じてやり続けた結果です。心からうれしい。全員で最後に笑えて幸せです」と破顔した。

 4年生で最後の大学選手権というプレッシャーのなかでも、SOとしてゲームをコントロールできた要因は、「いろいろ経験させてもらったことが大きかった」という。高校時代までFB(フルバック)だった松田は、1年生からSOとしてさまざまな経験を積んできた。コミュニケーションを取りながらスペースを判断する「ビジョントレーニング」を行なったり、試合後もビデオでゲームの分析を続けてきたという。もちろん、日本代表として高いレベルでプレーを体感したこともプラスに働いた。

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