新生ジャパン、アルゼンチン戦完敗で露わになった課題と対策

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 時代は変わる。ラグビーの日本代表も様変わりする。だが、桜のプライドと魂は変わらない。先人たちの遺志は引き継がれていく。

 秋晴れの5日である。ラグビーのジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチ(HC)の初陣となる日本代表vsアルゼンチン代表は、過日53歳で亡くなった元日本代表監督、平尾誠二さんの追悼試合として行なわれた。実は試合のメディカル・ルームドクターは、故・宿澤広朗さん(2006年没、享年55。1989~91年代表監督)の長男の医師が務めていた。

 試合開始前には平尾さんの現役時代のプレー映像が電光掲示板に流され、<ミスターラグビーの遺志を継ぎ 新生日本ラグビー 出陣>との言葉が映し出された。

 1分間の黙とう。日本代表は全員が左袖に、平尾さんの代表選手時代の背番号「12」の黒い数字を付けていた。

 この日、同じ12番のセンター(CTB)で戦った共同キャプテンの立川理道はしみじみと漏らした。

新生ジャパンでバックス陣をまとめる立川理道新生ジャパンでバックス陣をまとめる立川理道
「今日は僕も12番だったんで、特別に因縁のある試合かなと思って、試合に臨んでいました。(平尾さんは)レジェンドなので、その意味をしっかりと受け止めながら」

 確かに立川は体を張った。タックルを受けながらも、強靭な下半身を生かし、何度もゲインを切った。前に出た。でも、日本はチームとしてうまく機能しなかった。チームスローガンの『ワン・チーム』になり切れなかった。直前合宿はわずか1週間足らず。はっきりいって、準備不足だった。

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