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パナソニック3連覇! 日本ラグビーをけん引するW杯戦士たち (2ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

「僕たちの勝ちを信じて、ボールにプレッシャーをかけに行きました。"信じよう""信じよう"と声をかけて。最初、どちらが勝ったかわからなかった。でも、後ろを見たら、チームメイトが喜んでいたのです」

 東芝の逆転キックはわずかに外れ、パナソニックが27-26で競り勝った。最後の最後にトライを許したが、冷静に考えれば、インゴール中央にボールを運ばれなかったことが幸いした。

 ステインの独走を懸命の戻りで止めたウイング北川智規のタックル。東芝センターのリチャード・カフィが蹴ったボールにも、FWが3人、ちゃんと戻っていた。バウンド悪く、トライはされたが、相手にボールを自由に扱う余裕は与えなかった。

 実は最後のシーン、主将のフッカー(HO)堀江翔太は足を滑らせてボールを取れなかった。

「やってもうたな、と思ったんですけど」と、主将は笑った。

「僕が滑った後も、周りが最後の最後までボールを追い掛けて、(相手を)ポスト下に回り込ませなかった。最後まで勝負をあきらめなかったことが、こちらに勝利を呼び込んだのかな、と思います」

 ワールドカップ(W杯)での日本代表の活躍で沸いたシーズンのトップリーグを締めくくるのにふさわしい熱戦だった。ワンプレー、ワンプレーの動きが速く、コンタクトプレーも激しく、パスプレーは確実だった。

 昨年12月の両者の対戦は17-17で引き分けていた。その互角の実力の中で、あえて勝負を分けた部分を探るとすれば、フィフティーンのゲーム理解力、判断、精度の高さだった。修羅場をくぐり抜けてきた経験値、円熟味である。

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