2016.01.25

パナソニック3連覇! 日本ラグビーをけん引するW杯戦士たち

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 紙一重の勝利だった。わずか1点差の3連覇である。あたたかい満員観衆の拍手を受け、パナソニックのスクラムハーフ(SH)、田中史朗は小さなからだを震わせて泣いた。

「勝ったことと、ファンの方の数の多さで……。こんな光景をずっと夢に描いていたので……。3連覇と日本ラグビーの人気、両方の喜びが込み上げてきたんです」

3連覇の立役者の1人、パナソニックのスクラムハーフ田中史朗

 24日。トップリーグの年間王者を決める決勝トーナメントの決勝戦だった。秩父宮ラグビー場には2万5千人が押しかけていた。ロスタイム。スタンドが歓声と悲鳴で揺れた。

 パナソニックは東芝の執念の反撃を受け、ゴールラインを割られてしまった。点差は1点。右中間からのゴールキックを決められれば、逆転負けとなってしまう。

 ほとんどのパナソニックの選手はゴールキックの軌道を直視していない。田中もそうだった。31歳のSHにはこんな記憶がある。ニュージーランドに挑戦した時、同じような状況で「ただ勝利を信じて祈れ!」と言われたことがある。SHは東芝フルバック(FB)のフランソワ・ステインが蹴る際、ボールに向かってダッシュした。