【ラグビー】帝京大7連覇達成! 揺るがないチームの「文化」 (3ページ目)

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu  齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 FW戦で優位に立てば、能力の高いバックスも生きてくる。早いテンポの波状攻撃、特に「アンストラクチャー」(崩れた局面)での個々の判断、動きが的確で、ゲームの主導権を握った。前半5つも犯したペナルティーは後半、1つに減った。

 今季の帝京大の強みを聞けば、司令塔の松田は笑顔で言った。

「全員がスペースを探すことができることが大きいと思います。いろんなスペースを突いて、それに連動していける。アタックの部分では幅が広がりました」

 実は松田は、試合前、ケガをした4年生の森谷から声をかけられ感極まって涙を流した。試合後、森谷から握手されて、また泣いた。

「もううれしくて。最後はみんなで笑顔になりたいなと思っていたんですけど…」

 王者の強みは層の厚さにもある。主力の1人、2人いなくても、チーム力はそう落ちない。それぞれが「自立」しているのである。松田の言葉を借りると「自分でリーダーシップとれるやつが多いんです」となる。能力の高い学生が集い、規律ある生活の中で日々、切磋琢磨しているからだろう。

 それにしても学生が7連覇もするとは。歴史を振り返ると、帝京大は2009年度、持ち味のFWを前面に出して東海大に1点差勝利で初優勝を果たし、分厚いディフェンスで早大を下して2連覇、終了直前の劇的な決勝PGで天理大に競り勝ち3連覇。個々の能力を高め、戦術の幅を広げて4、5連覇。昨年度は筑波大を圧倒して6連覇を果たした。

 社会人の新日鉄釜石(1978~84年度)、神戸製鋼(1988~94年度)と並ぶ7連覇とはいえ、学生は意味合いが違う。若者を育てながら勝たないといけない。帝京大の前は、同志社大(1982~84年度)の3連覇が記録だったことからも、学生の連覇がいかに難しいかがよく分かる。

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