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【ラグビー】男子セブンズ、「空前の注目度」のなかのリオ五輪切符! (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu    志賀由佳●写真 photo by Shiga Yuka

 自陣でのペナルティーから反撃を仕掛け、ボールを大きく動かしていく。みんなが瞬時に反応した。走って、つないで、最後は左オープンから後藤輝也(NEC)が左中間に飛び込んだ。これが反撃ののろしだった。

 さらにターンオーバーの逆襲などで3トライを加えて、24-10で逆転勝利を収めた。昨季、ワールドシリーズを戦った日本にとって、アジアでは「勝って当然」の重圧をはねのけた。勝利を確信した時点は?と聞かれると、瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は「(終了の)ホーンがなって14点差を確認した時です」と言って周りを笑わせた。

「キャプテンを筆頭とした、オリンピックにいくというみんなの強い思いが少しだけ、相手を上回ったんじゃないかな。ふだんはセブンズにスポットが当たらない中、15人制の(W杯での)活躍があったり、オリンピック予選ということだったりして、ちょっと(注目度が)普通じゃないと感じていました」

 巷は空前のラグビー人気。ひと呼吸を置き、同HCは言葉を足す。

「さらに日本ラグビーに大きな風を吹かすことができたことを非常にうれしく思います」

 傍目には苦しい戦いも、瀬川HCも、選手たちも自分たちの実力を出せば勝てるとの確かな自信があった。桑水流の言葉を借りると、チーム間に「信頼」と「プライド」があったからだ。その根拠は練習環境の改善にある。昨年からコア(中心)メンバーとして、ほぼ同じ選手構成で継続強化できていた。
 
 この点が15人制を主体とする日本ラグビーにあって、日本セブンズのこれまでのネックだった。だが日本ラグビー協会が強化に本腰を入れたことで、所属企業から選手拘束の許可を得るなどして、セブンズに特化した練習ができたのだ。当然、強化資金もアップした。

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