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【ラグビー】W杯まで1ヶ月。キーマン田中史朗の「手応えと課題」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 齋藤 龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 前半13分、田中がこぼれ球を拾って前進し、ラックから左に回し、フッカー堀江翔太(パナソニック)がゴロキックを蹴り込んで、ウイング福岡堅樹(筑波大)がタックルから相手ボールをターンオーバー(奪取)した。素早く球を出し、右に大きくつないで、最後はウイングのカーン・ヘスケス(宗像サニックス)が右隅に飛び込んだ。

「いいコミュニケーションが取れていた」と田中は振り返る。

「ひとりひとりが判断して、しっかりスペースに走り込んで、チームとして取れたトライだった。(スタンドオフとの連係も)すごくやりやすかった。練習でもミーティングでも互いに言っているので、コミュニケーションはレベルアップしているのかと思います」

 現在のラグビーの試合展開において、特にブレイクダウン(タックル後のボール処理)が重要である。生命線と言ってもよい。大事なことは個々のフィジカルと、ボールを持っている選手の体の使い方、2人目3人目の寄り、さらには密集に入る、入らないの個々の判断である。

「ミスが多かった部分とブレイクダウンが課題。フィジカルの部分では、全員が体を張って、日本のためにという思いをしっかり体現できたと思います。ただ、ブレイクダウンでボールを取られたり、絡まれたりすることが多かった。(1人目、2人目の)仕事の質が少し低かったような気がします」
 
 W杯初戦の南アフリカ戦を想定したこの日の相手は、ニュージーランドや豪州、南アフリカなど南半球出身の選手で編成されていた。フランカー陣は腕力があって、確かにボールに絡むのがうまかった。だが、南アはもっともっとフィジカルが強くて、しかも束になってかかってくる。大丈夫か。

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