【ラグビー】『ネバー・ビー・ハッピー』エディー・ジョーンズ流指導とは?

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 濱田陽守●写真 photo by Hamada Kiyoshi

 怖い......。世界的名将のどんぐりマナコはすべてを見通しているようだった。日本代表の選手を。日本ラグビーを。その行く末を。

 ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)。オーストラリアはタスマニア州出身の55歳。「日本ラグビーの歴史を変える」と宣言し、日本代表を上昇気流に乗せた。

合宿地、宮崎でインタビューに応じてくれた日本代表 ヘッドコーチ、エディー・ジョーンズ合宿地、宮崎でインタビューに応じてくれた日本代表 ヘッドコーチ、エディー・ジョーンズ

 9月にイングランドで開幕するワールドカップ(W杯)に向け、宮崎市の合宿地で、ハードトレーニングが続く。アジアチャンピオンシップの試合の合間のGW。夏のような陽射しの下、セミの鳴き声に交じって、ジョーンズHCの声が飛ぶ。「はやく、判断!」「はやく、はやく」「もっとコミュニケーション!」

 練習は面白い。実戦形式のアタック練習で、ラグビーボールが突如、白い生卵に変えられる。時にはジョーンズHCが生卵を高々と放り投げたりもする。ハンドリングの練習だ。キャッチングが悪いと、生卵はグシャッと割れてしまう。"生卵"の狙いとは?

「2つ、ある。1つはキャッチする時のソフト・ハンズの練習です。やさしく捕ることが、どれほど大事なことかを選手に分かってもらいたかった。もう1つは楽しんでもらいたい。ハードトレーニングをしてほしいけれど、同時にラグビーを楽しんでほしい気持ちもある。楽しめると、より頑張れるから」

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