【ラグビー】帝京大圧勝V6。そして、進化はまだ止まらない (2ページ目)
表彰式のあと、グラウンドには背番号のない赤いTシャツを着たメンバー外の部員たちがグラウンドになだれ込んだ。胸には「Six Time」の黒い文字。流主将は顔をくしゃくしゃにする。「試合に出られないメンバーを笑顔にできたことに幸せを感じます」
部員は142人。うち4年生が33人。1年間のたゆまぬ努力が連覇につながった。6連覇の感想を聞かれると、帝京大の岩出雅之監督は「ホッとしています」とポツリ。監督はメンバー選びの際、非情にならざるを得ない。「6連覇はうれしいですけど、メンバーから外した学生の姿とか顔がよぎってきて......」と目に涙をためた。
「強さの秘密、一番は学生の人となりだと思う。1年1年、1日1日、積み上げながら、チームの力を引き上げてきた。V1、V2(時代)と比べれば、(チームの)レベルが違う。大きく成長してきていると思う」
もはや帝京大には、学生の成長を促す風土と仕組みができあがっている。強さの理由として有能な人材を確保できる環境を挙げる人が多いが、他大学と違うのは『体作り』である。栄養、トレーニング、ケア......。大学のサポートは手厚く、特に医学部の「帝京大スポーツ医科学センター」の存在が大きい。
ラグビー部には、同センター所属の管理栄養士が3人、トレーナーが6人いる。月1回の頻度で部員の血液検査が実施され、身体組成の変化や体調をチェックできる仕組みになっている。栄養のバランスが悪ければ、栄養士がアドバイスをして、食事が改善される。
「体って、食べた物の結果なんです」と、管理栄養士の虎石真弥さんは説明する。「最近は、選手の食環境が充実し、取り組みも定着してきました。私が何も言わなくても、選手たちは自分で考え、地道な努力を積み重ねるようになりました」
フィジカルアップに関しては、キャンパスにもジムがあって、ラグビー部の加藤慶フィジカルコーチが待機している。部員は授業の合間にも体を鍛え、グラウンドでの練習の前後にも筋トレに励む。選手の意識が高ければ、それはパワフルになるはずである。
ケガをしてしまったら、医学部のドクターがすぐに対応する。チームドクター、治療スタッフも充実していることで、大事な時にケガ人が復帰し、決勝ではベストの布陣が組めたのだった。
2 / 3