【ラグビー】古豪復活へ。神戸製鋼の新指揮官が授けたもの

  • 向風見也●文 text by Mukai Fumiya
  • photo by Kyodo News

 神戸製鋼は日本ラグビー界における老舗のブランドだ。「ミスター・ラグビー」の異名を取った平尾誠二を中心に、1988年度から7シーズン連続で全国社会人大会と日本選手権を制覇。初の日本一となった1989年1月15日の日本選手権決勝には東京・国立競技場で歴代10位となる61105人の観客を集めるなど、実力と人気を兼ね備えていた。

チーム史上初の外国人HCとなったギャリー・ゴールドチーム史上初の外国人HCとなったギャリー・ゴールド

 だが21世紀に入ると、かつての栄光はなりを潜めていった。国内最高峰であるトップリーグの優勝は2003年度の1回だけ。以来、タイトルから遠のいている。そんな古豪復活の切り札として白羽の矢が立てられたのが、チーム史上初の外国人ヘッドコーチ(HC)、ギャリー・ゴールドである。

 ゴールドはプレミアシップ(イングランド最高峰リーグ)に属するロンドン・アイリッシュや、スーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)のストーマーズなどでヘッドコーチを務めた後、南アフリカ代表のアシスタントコーチとして2011年ラグビーワールドカップにも参加した。

 その指揮官が、まずチームに求めたのが、選手、そしてチーム全体の「attitude(姿勢、態度)」だった。

「おそらくほとんどのチームにいい選手がいて、やっているラグビーもそんなに大きくは変わらない。そこで何が差となっていくかというと......選手がそのラグビーをどれだけやりきるか、どれだけハードなことをしていけるか、という部分になってきます」

 そして戦略面では何より、組織的かつ激しい守備と、強固なセットプレイの徹底を第一に挙げた。実力派が揃う大型フォワードが、ラインアウトからのモール、スクラムで団結。守備ではポジションを問わず人数を揃え、ボールが出たらみんなで揃って圧力をかける......。

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