【ラグビー】金星逃すも、エディーJが4合目から見る風景

  • 松瀬学●文 text by Matsuse Manabu
  • 高見博樹●写真 photo by Takami Hiroki

 あっという間の出来事だった。
 
 ラスト3分。スコアは日本の3点リードだった。ここから、ニュージーランドの先住民族マオリの戦士たちの逆襲が始まった。

「やられたと思った」

 途中から代わって入った百戦錬磨の36歳、ロック大野均がこう述懐する。ラインアウトからのクイックスローイン。30数メートルのロングのボールが投げ込まれたとき、もう相手の黒いジャージが4つ、ラインをつくっていた。日本の赤色ジャージのディフェンスラインはほとんどゼロだった。

試合終了3分前、フランカー、ダン・プライヤーのトライで、マオリ・ オールブラックスが逆転。試合を決めた試合終了3分前、フランカー、ダン・プライヤーのトライで、マオリ・ オールブラックスが逆転。試合を決めた

 このインスピレーション(発想力)、反応力、意思統一。「世界一の素早さ」を誇るマオリに楕円球をつながれた。必死で戻った日本のタックルをひょいとかわされ、逆転のトライを奪われた。「(勝利への)執着心の差ですかね」と、大野は悔やむのである。

 「"これがマオリか"と思いました。体に染みついた個々のスキル、嗅覚。最後のラインアウト。FWとしては絶対、ボールを奪い返してやるというメンタリティーだったんですけど、(クイックスローで)肩すかしを食らった格好でした」

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