【ラグビー】W杯まで残り1年。日本代表に何ができるのか? (3ページ目)
一方、2014年に入ってジョーンズHCは、いずれは修正が必要と感じていたディフェンス面の強化にも着手した。ウェールズ代表の元アシスタントコーチを招聘し、ディフェンス面の指導を一任。WTB(※)やFB(※)など個の能力が高い外国人選手に、カウンターアタックからトライを許してしまうことがあったためだ。来年のW杯で対戦する南アフリカ、サモア、アメリカには当然、能力の高いランナーが揃う。よって今夏の合宿では、相手のバック陣に走らせないよう、キックを蹴る練習に時間を割いた。
※WTB=ウイング・スリークォーターバック(11番・14番)、FB=フルバック(15番)。
また、最近は相手に研究されたこともあり、信条とするアタッキングラグビーでトライを取り切れない場面が目立っていた。スクラムやディフェンスなどはコーチに任せるも、「攻撃と戦術は自ら」と自負するジョーンズHCは、「大きく変えないが、11月の試合に向けてバリエーションを少し変える」と語っている。W杯まで残り1年――、今後も相手を惑わす戦術に磨きをかけていくはずだ。
このように日本代表は着実に強化を進め、史上初めて世界ランキング10位となった。ただ、W杯に向けてもうひとつ、強化を図る上で気になることがある。それは、強豪国とのマッチメイクだ。今年11月に2度対戦するマオリ・オールブラックス(※)戦の後は、W杯本番まで格上と対戦することが難しいと思われる。ジョーンズHCは「南アフリカと80分間対戦するには、彼らの強度に耐えなくてはならない。そのためにはW杯まで残り1年、人生の中で今までにないくらいハードに練習し、もうひとつ上のレベルにならないといけない」と語り、強豪国と試合できない穴を練習量でカバーしようとしている。
※マオリ・オールブラックス=ニュージーランドの先住民族マオリ族代表のラグビーチーム。
負けず嫌いでストイックな指揮官と、その指導に応えてきた真面目な選手たちは、この2年間で日本代表の歴史を次々と塗り替えてきた。1年後、エディー・ジャパンは24年ぶりの白星だけでなく、一気に決勝トーナメント進出という金字塔を打ち立てられるか――。大きな目標に向かってに愚直に邁進する、彼らのさらなる成長に期待したい。
3 / 3