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【ラグビー】日本選手権決勝、サントリー2季連続2冠のカギは? (2ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

 サントリーは準決勝でも超攻撃ラグビーでパナソニックを圧倒した。小野は言う。「ファイナル(決勝)はまた、タフな試合になると思う。相手にはビッグプレイがあるので、チームでディフェンスし、チームでアタックするのが大事になる。簡単に言えば、相手にボールを渡さなければいい」と。

 特に警戒すべきは、準決勝の東芝戦で2トライと活躍した大型CTB(190cm・100kg)のジャック・フーリー(南アフリカ)である。ディフェンス網が甘くなり、フーリーが目立つようだと、勝敗は分からなくなる。まずはCTB陣の1対1のタックルが重要だろう。

 サントリーは今季、神戸製鋼と3度目の対戦となる。1月6日のトップリーグのリーグ戦では43-29で圧勝し、1月19日のプレイオフ準決勝でも38-19で逆転勝ちした。この準決勝、前半は9-19と苦戦した。

 前半と後半の違いはブレイクダウンの出来だった。前半は相手に絡まれて球出しのテンポが遅れ、ボールをあまり動かすことができなかった。だが前半終盤にハーフ団をSHデュプレア-SO小野から、SH日和佐篤―SOトゥシ・ピシ(ニュージーランド)に代えた。それでスイッチが入り、後半はテンポアップした。

 決勝戦もブレイクダウンがポイントとなる。ブレイクダウンを優位に運び、我慢強く攻め続けたチームが勝つだろう。実は今季、神戸製鋼にとってはスクラムからの攻撃が重要な得点源となっている。スクラムは神鋼優位。プレイオフ準決勝と違い、神鋼の左プロップにはスクラム巧者の平島久照が入りそうだ。

 そこでサントリーの右プロップの畠山健介の踏ん張りが不可欠となる。サントリーが負けるとしたら、スクラム、ラインアウトのセットプレイから重圧を受け、ブレイクダウンで劣勢となってリズムを壊された時か。

 サントリーのブレイクダウンでの大黒柱が、2年連続MVPのフランカー、ジョージ・スミスである。密集で球を奪取するジャッカル数もチーム随一で、攻守のあらゆる局面で頼りになる。いぶし銀のフランカー佐々木隆道、25歳のナンバー8西川征克の動きにも注目したい。

「FW戦では絶対、負けない」と西川は言い切る。「(神鋼の)FWは大きくてセットプレイが強いチームだと思います。でもうちはどのチームより、フィットネスには自信がある。チーム全員でハングリーに戦い、今季最高の試合で勝ちたい」

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