【ラグビー】トップリーグと真っ向勝負。日本選手権で帝京大が示した可能性

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • photo by AFLOSPORT

学生王者の帝京大が、日本選手権2回戦でパナソニックと対戦した学生王者の帝京大が、日本選手権2回戦でパナソニックと対戦した
 もはや大学王者にとって、社会人トップ4の壁は越えることができないのか。

 史上初の大学4連覇の帝京大がパナソニックに真っ向勝負を挑んだ。トップリーグ(TL)四強といえども、相手は一部主力を温存させての若手主体。チャンスがあると踏んだ。

だが、現実は厳しかった。一見、互角に映る個々のコンタクトプレイも、束になれば、圧力が違ってくる。随所に若さを表現してファンを沸かせながらも、若干の判断の遅れとコミュニケーションの乱れで窮地を招く。

 瞬時の判断の積み重ね、それがラグビーである。いわば経験値の差。厳しい試合の「慣れ」の差がスコアに出た。

 2月10日の日本選手権準々決勝(秩父宮)。21-54の完敗だった。帝京大の岩出雅之監督は淡々とした口調で漏らした。

「少し淡い期待を持ちながら臨みましたが、まだまだ実力不足を痛感しました。学生はそんなにくたくたにはなっていないと思いますけれど、集中力の欠ける部分、いなされる部分、余裕のない部分があったなと思います」

 勝負どころは、後半7分からの10分間だった。スコアが14-19。パナソニックにペナルティーキックを与え、ゴール前ラインアウトのピンチを招く。これを相手ロックのジャスティン・アイブスに捕球され、きっちりモールを組まれた。

 少し右にずらされ、青いジャージの固まりに一気にインゴールまで押し込まれた。トライを許す。阻もうとした帝京大の主将、フッカーの泉敬は枯れ芝にたたきつけられ、赤いジャージのFWが次々と押し崩された。

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