「本気の中国」を圧倒した平野美宇の新たな武器を平野早矢香が絶賛 張本美和は「もうワンランク上がる」 (3ページ目)

  • 高樹ミナ●文 text by Takagi Mina

――平野選手は最近、言動も変わってきたように感じます。

「今年1月の全日本選手権でもそうでしたね。平野選手のシングルス初戦の前日に行なわれた記者会見で平野選手がコメントした、『自分の人生は自分でコントロールする』『ネットを挟んだ格闘技のつもりで戦う』といった言葉がすごく心に残っています。私が知る限りですが、彼女の性格やそれまでの言動からすると、すごく強いワードでした。

 全日本選手権は、同級生の伊藤美誠選手とのパリ五輪のシングルス代表争いが決着する大会で、平野選手も本当にギリギリまで自分を追い込み、切羽詰まっていたと思います。そういった極限状態で絞り出すように出てきた言葉のように感じました。いつもの平野選手とのギャップに驚いたと同時に、『覚悟を決めてきたんだな』と思いましたね。東京五輪のシングルスに出られなかった悔しさ、パリ五輪代表の選考レースで少し出遅れたことなどもすべてプラスに変え、待望のシングルス代表権を勝ち取った。本当にたくましくなりました」

【驚異の15歳・張本美和の成長と伸び代】

――世界選手権初出場とは思えない、張本選手の落ち着いたプレーも目を見張るものがありました。彼女の強さの秘密はどこにあると見ていますか?

「彼女が小学生の頃から、『絶対にトップに行く』ということは私を含めて誰もが思っていたでしょうが、想像を超えるスピードで成長しています。中学生にしては卓球がしっかりしていて、勢いやスピードで押し切るのではなく、基礎レベルが高くて崩れにくい"穴のない卓球"をします。

 あの年齢で、あんな落ち着いたプレーができるなんて、どういう練習をしているのか......。メンタルが安定しているのは、性格も影響しているでしょう。勝負所もよくわかっていて、サーブをYGサーブに変えたり、レシーブやラリーのコースを変えたりと戦術の転換が的確です」

――平野さんも世界卓球の解説で指摘していたバックハンドのストレート、あれは強烈ですね。

「バックストレートはクロスに比べて距離が短いので安定して台に入れるのが難しいんですが、お兄さんの張本智和選手と同じで、ストレートに打つ時もクロスに打つ時も、体の向きやバックスイングにあまり違いがありません。だから、相手の対応が遅れるんです。コントロールがよくてボールを台にちゃんと入れることができ、得意技のチキータも威力があって迷いがありません。自分から打つこともできるし、相手に打たせてカウンターを合わせることもできます」

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