元ソフトボール日本代表・長崎望未が語る引退後の今 軟式野球やベースボール5に挑戦するわけ (2ページ目)

  • 石塚 隆●取材・文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Tatematsu Naozumi

【JDリーグのアンバサダーとしても】

――長崎さんも経験があると思いますが、ゴムから硬球への対応はやはり難しいものですか。

「覚えているのは、最初は指が痛かったことですね。私は野手でしたけど、ピッチャーは爪が割れることもあるでしょうし、そのあたりでどう対応できるか。短期間の大会ですけど、関係者は将来性も含め、対応力も見ているかもしれませんね」

――なるほど。バッティング面においてはどうですか。

「ゴムよりも硬球のほうがはるかに飛びますね。私は実業団に入ってから硬球を使ってプレーしたのですが、最初は『こんなに飛ぶんだ!』と驚きました。ゴムだったらボールが潰れてファウルになっていた打球が、硬球だとヒットになる。打者は気持ちよくバッティングができると思いますね」

――そのあたりの変化をどう感じ取ってプレーしてくれるかも楽しみですね。

「国際大会は選手たちにとって成長するチャンスです。私が初めて出た国際大会は、南アフリカで開催されたU19の世界大会でしたが、外国人選手の力強いプレーを目の当たりにして、とても新鮮な驚きがありました。世界には、こんなプレースタイルがあるんだって。どこか狭く見えていた世界が広がったし、自分の目標がそれまで以上に高くなっていく感覚もありました。
15歳というタイミングで12カ国の選手たちとプレーすると、自分が頭の中で考えていた限界を超えてくる選手が必ず出てくるので、その子たちにとってはソフトボール人生の分岐点になると思っています。すべての選手にとって成長の場になって欲しいし、観客の皆さんには、成長していく彼女たちの姿を見てもらいたいですね」

――そして、長崎さんはニトリJDリーグ(旧・日本リーグ)のアンバサダーにも就任されました。現在の活動を含め、今後の展開など考えていることはありますか。

「私の役割は、内外にソフトボールの素晴らしさを伝え、普及していくことだと考えています。3年前に引退してから、軟式野球チームの『クーニンズ』に所属したり、野球の派生競技である『ベースボール5』などに挑戦したりしているのですが、根本にあるのはソフトボールを盛り上げたいという気持ちです」

――野球との親和性を上手く利用してソフトボールを広めていく。

「そうですね。ソフトボールのファンって基本的に野球も好きだと思うんです。逆に、ソフトボールだけのファンって少ないというか......。私が野球をプレーすることで、少しでもソフトボールの認知度を高めて、私を通じてソフトボールに触れてもらえれば嬉しいなって。そこには手応えも感じています。
それに付随して、様々なメディア活動を通して、まずは私のことを知ってもらい、その先でソフトボールも知ってもらえたらと。また、他のスポーツ同様、少子化によってソフトボールも競技人口が減ってきているので、ソフトボールや野球の教室をきっかけに、単純に子どもたちにスポーツの楽しさを知ってもらって、未来を拓くきっかけになればいいなって思います」

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