「倒産寸前の会社」だったTリーグがV字回復。約6億の赤字を黒字転換させたキーマンが語る「当たり前の解答」の意味 (2ページ目)

  • 佐藤主祥●取材 interview by Sato Kazuyoshi  text by Sportiva
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

――就任当初は、初年度赤字と厳しい状況下でした。当時感じた問題点はどのようなことでしたか。

 正直に申しますと、Tリーグは突貫での立ち上げでした。チケット販売から興行における運営管理まで、すべてリーグ側が行なう仕組みになっていました。チーム側は会場に来て試合をするだけだったんです。

 そのため全国各地で行なう試合に、東京から社員が出張して運営しなくてはならなかったんです。やはりこれには無理がありました。もちろん3シーズン目くらいまでにはチームに移管する話をしていましたが、当時はマネジメントの管理範囲を超えていて、よりよい状況にするための余力がありませんでした。

 初年度はTリーグの将来に期待して多くのスポンサー様がついてくださって、約15億円の売り上げがありましたが、運営費などで20億円以上を使ってしまったので、約6億円の赤字になってしまったんです。

 2シーズン目から私が入りましたが、その時にはすでにさまざまなことが決まっていました。私は昔、銀行員もやっていましたので、12月くらいには金繰りが厳しくなることがわかりました。就任当初は、倒産寸前の会社の再建計画をやるイメージでしたね。

卓球界のポテンシャルの高さを熱く語る日下部氏卓球界のポテンシャルの高さを熱く語る日下部氏この記事に関連する写真を見る――そこからどのような改革を行なっていったのでしょうか。

 卓球界の実情を分析すれば、私が実施したことは、当たり前の解答なんですよ。単純に、Tリーグの中にいる人たちが、俯瞰して見ることができない立場になっていただけだと思うんです。

 私はまず業務の整理を行ないました。必要のない業務もありましたから、部署ごとにクローズして、営業やチームサポート、チケット販売に異動してもらったりと、大きく変えていきました。

 そして大きかったのが、11月頃に、4年の中期契約を結んでくださるスポンサー様を見つけることができたことです。3シーズン目からの契約でしたが、その約定が取れていましたので、さまざまな支払いを一旦止めて、「3シーズン目に分割してお支払いさせてください」などと繰り延べのお願いもしました。そうして何とかその後の目途を立てることができたんです。

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