鳥内秀晃が日本スポーツ界の病理を斬る。「鉄拳制裁、パワハラ、そんなのスポーツやない」 (3ページ目)
―― アメフトほど簡単にケガにつながる競技もないですもんね。
鳥内 ただ、上手い・下手に関しては、何も言わへん。失敗なんて、どんどんしたらええんですよ。失敗を怖がることほどつまらないことはない。スポーツの原点は、楽しむことでしょ。日本の学生スポーツや体育は、今も戦前の軍隊の流れが残っている。だから鉄拳制裁があり、パワハラが起こる。そんなの、スポーツやないですよ。かつて、関学の指導者も軍隊上がりの人が多かった。ファイターズの指導者も軍隊上がりやったけど、幸いにも、早い段階で軍隊教育をやめた。だから、昔から下が上にものを言っても怒られへん。
うちの子どもは昔、少年野球をやってたんですよ。若い指導者が、小学生のことボロカス言うててね。「守備位置、もっと前やろが!」みたいな。監督が試合で怒るって、練習で何も教えてないことを自ら暴露するようなもんやないですか。なんで、そこに気づかんのかな。
【体罰は犯罪。あんなもん、指導でもなんでもない】
―― 鳥内さんは大学卒業後、4年間アメリカでコーチ留学を経験されています。アメリカの指導論がそのまま日本にフィットするというものでもないんですよね。
鳥内 アメリカの選手は、ほっといても激しく競い合う。コーチに自分を使ってくれとがんがん言ってくる。小さい子って、何でも聞くじゃないですか。「何これ?」「何これ?」って。アメリカ人は、その姿勢をずっと持ち続ける。一方、日本人は基本的に順番待ちの文化。質問もしない。学校で「黙って先生の言うことを聞く子がいい子」と刷り込まれるうちに、黙って順番を待っているような大人になっていってしまう。
世界の中でも日本だけじゃないですか。アメリカで知り合ったアジア人はみんな自己主張が強いですから。日本人だけ「お先にどうぞ」ってやっちゃう。必然的に、アメリカでこれええなと思っても、日本流に多少、アレンジしなければあかんでしょうね。
―― その性向は、世界の舞台で戦うにおいて致命的なのではないですか。
鳥内 はっきり言って、ラグビーとかアメフトとか、コンタクト系スポーツは日本人に不向きでしょうね。
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