森薗美咲、政崇、美月の壮絶卓球人生。
「父は星一徹のように厳しかった」 (5ページ目)
その時のことを政崇は、よく覚えているという。
「普段、卓球で森薗家を意識したことがなかったんですけど、号外とか出て初めて自分の家を意識させられたし、めちゃくちゃうれしかったです。『俺の知らないところでみんな頑張ってんなぁー』って思いましたね。美咲は惜しかったし、美月はそんな試合できるんだっていうぐらいすごい試合をしていました。本当は、みんな優勝して、喜びたかったんですけど、この時をキッカケにいろんな人に森薗家を知ってもらったんで、それはすごくよかったです」
ちなみに3人は、それぞれに優勝や準優勝のお祝いのラインも連絡もしなかったという。美月は高校の規則で連絡が取れず、美咲は翌日の世界選手権のメンバー発表が気になって準優勝で浮かれている場合ではなかったのだ。それでも普通は姉から弟に連絡があってもおかしくはないが、そこが森薗家のドライなところで、いい意味で独立している。お互いに頑張っていこうね、という青春ドラマみたいな甘酸っぱい空気は3人にはない。
試合に勝って、一番になる――。
プロなら誰でもそう思うが、3人はなおその想いが強い。
「みんな、負けず嫌い。しかも、相当の」
政崇はそう言う。
そんな3人が、Tリーグに参戦することになる。
(つづく)
5 / 5