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世界卓球の理不尽な「合同コリア結成」は
スポーツの本質をねじ曲げた (3ページ目)

  • 城島充●文 text by Jojima Mitsuru

1991年の世界卓球選手権の団体戦で優勝した統一チーム「コリア」photo by Kyodo News1991年の世界卓球選手権の団体戦で優勝した統一チーム「コリア」photo by Kyodo News そして世界選手権の舞台に登場した史上初の統一コリアチームは、まさにスポーツの力で世界を驚かせた。団体戦で9連覇を目指した中国を決勝で下し、世界の頂点に立ったのだ。朝鮮民族の唄「アリラン」の大合唱のなか、朝鮮半島を青く染めた統一旗がセンターポールに掲げられた光景が世界中に発信されたのである。

 米中国交正常化につながった1971年の世界選手権名古屋大会に続く"ピンポン外交"を成功させた後も、荻村さんがさらに南北が歩み寄る機会を作ろうとしたことはあまり知られていない。世界選手権での活躍を讃えた荻村さんは、南北の関係者に「4年後、南北で世界選手権を共催しましょう」と提案したのだ。

「前半の団体戦を平壌、後半の個人戦をソウルでやるのです。団体戦が終わったあと、世界各国の代表選手たちは平壌から板門店を通って韓国に入る。その様子を世界中のメデイアが伝えれば、朝鮮半島を取り巻く環境が大きく変わるかもしれません」

 このプランは実現しなかったが、ここで伝えたいのは、それほどまでの情熱とビジョンをもって国際社会と向き合ったスポーツリーダーが、卓球界に、日本にいたということである。

日本の女子選手たちが見せてくれたトップアスリートの矜持

 それに比べて、今回の合同コリアチームはどうだったか。現地からのレポートによると、今回の合同チーム結成は選手の入場行進の際に、突然、場内アナウンスで伝えられたという。

「和気あいあいとした雰囲気の中で、いきなり場内アナウンスで『北と南はお互いが戦うことを望んでいない。準々決勝で戦わずに、準決勝で統一チームで戦う。名称はコリア』と発表。それから5時間後には国際卓球連盟(ITTF)のトーマス・バイカート会長、IOCメンバーの柳承敏氏(韓国)が記者会見。『昨日のITTFでの新財団のレセプションで両チームと話し合いを決めた。アクシデント(偶然)のような出来事だった』と伝えた」(『卓球王国』のサイトから抜粋)

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