みま、みう、1年後の全日本での明暗。2人の卓球の何が変わったのか (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun  中村博之●写真 photo by Nakamura hiroyuki/PICSPORT

「平野選手が0-3で負けているということで、すごく向かってきて攻めてきたので守りに入ってしまった。このセットが終わった後は、5ゲーム目で仕留められるようにしていこうと気合いを入れ直しました」

 その言葉通り、伊藤は5ゲーム、平野の得意なラリー戦でも打ち負けることなく、ポイントを稼ぎ、11-6で圧倒し、初優勝を決めた。

「平野選手は全日本で勝ってアジア選手権も優勝し、すごく変わった。その平野選手のおかげで自分も頑張らないといけないと思えた1年だったですし、自分を変えることができた。この1年にすごく感謝しています」

 1年前、眩(まばゆ)い輝きを放つ平野選手に力の差を感じ、ドン底にいた状態から自分のプレーの引き出しを増やすために、肉体改造をはじめハードな練習に取り組んできた。その努力が結実し、今年は3冠達成という偉業を成し遂げた。

 今回の優勝は、新しい卓球スタイルで内容も結果もついてきたという意味で伊藤の卓球に大きなプラスになった。と同時に、1年前の伊藤と同じようなスランプ状態に陥りつつある平野、そして伊藤とダブルス優勝を果たした早田や、伊藤に敗れた石川ら、ライバルたちに大きな刺激を与えたに違いない。
  
 それほど「圧倒的な強さ」を印象づけた伊藤のシングルス優勝だった。

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